Café de Geneviève

気が向いたら

ドラマ『ミニチュア作家』

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『ミニチュア作家』

監督:Guillem Morales

原作:『ミニチュア作家』 ジェシー・バートン

2017年、BBC、157分

 

おや?

何だか見覚えのある構図のような。

フェルメールレンブラントなどの17世紀オランダ絵画の絵を見ているようだった。

だからか、ネラ達の動きも絵画的なシーンが多く、はっとする場面が多かった。

落ちぶれた貴族の家からお金のために嫁いだネラ。夫ヨハンネスから豪華なドールハウスを贈られ動揺する。なぜならドールハウスは子供が遊びながら家庭内の切り盛りやメイドの扱いなどを学ぶもの。動揺しつつも義妹マーリンから渡されたリストの中の職人に製作を依頼する。ミニチュア小物が届くが頼んでもいない物もあった。それが家の中にあるものと全く同じであることで不安になるネラ。しかも夫は妻と夜を共にしてくれず。ある日そんな夫の秘密を知るだけでなく商人仲間の裏切りが行われる。そしてミニチュア小物が予言のように現れることに気が付き、その送り主であるミニチュア作家に会うことを切望する。

青や黄色のネラの鮮やかなドレスが美しい。

撮影はオランダのライデン。窓から見える運河沿いの景色。どっしりと重たいカーテン。揺れる蝋燭のあかりで朧に浮かぶ影。所々で現れては消える女性。この女性の存在がこの作品をミステリーとしてリードしている。

 

監督はバルセロナ出身のギジェム・モラレス。彼は美術史を学び、1999年にLGBTIを扱った短編映画『Back Room』でデビュー。全体的にドラマの作りがスペイン風になっているそう。

 

作家のジェシー・バートン(本名ジェシカ・キャスリン・バートン)はオックスフォード大を卒業し、2008年に俳優デビュー。その後休暇でアムステルダムの博物館を訪れたことがきっかけとなり小説を書き始める。2014年に『ミニチュア作家』で作家デビュー。

原作はアムステルダム国立美術館所蔵の『ペトロネラ・オールトマンのドールハウス』から着想を得た歴史小説で、実在のペトロネラ・オールトマンの伝記ではない。