Café de Geneviève

気が向いたら

映画『幸福なラザロ』

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『幸福なラザロ』(Lazzaro Felice)

監督:アリーチェ・ロルヴァケル

脚本:アリーチェ・ロルヴァケル

音楽:ピエロ・クルチッティ、カロル・モサコウスキ

2018年、伊、127分

 

 

ラザロというのはベタニアに住むキリストの友であり、キリストが蘇らせた人。

ラザロ(ヘブライ語Eleazar、「神は助けた」)、ベタニア(ヘブライ語、「神により頼む貧しい者の家」)。

 

 

鈴虫の鳴く夏の夜、ラザロがザンポーニャを抱えて立っている。そして村の男に呼ばれる。一方、家の中ではマリアグラツィアが電球を貸して欲しいと訴える。そうしているうちに窓の外からセレナーデが聞こえ始める。マリアグラツィアへの求婚のために男たちが集まり、窓下で歌を歌いザンポーニャを吹いていた。

 

ラザロは頼まれたことを嫌な顔一つせずにこなす。その表情は子供のように無垢で純真だ。濃い色の巻き毛の髪、長いまつ毛、ぷっくりとした唇、ふっくらとした頬。やや太めの体躯。それはまるで小さな天使がそのまま大きくなったような風貌なのだ。

 

物語は前半は80年代にイタリアであった事件で、小作人制度がとうに廃止されたのに村人に通知せず搾取し続けていた農園の事が元になっている。後半はバスの中でアントニアがピッポに語り聞かせる話をきっかけにしている。

 

村の少女たちは皆美しく、それだけで御伽噺のようだった。