Café de Geneviève

気が向いたら

エッセイ

Nacho Dominguez Argenta -Unsplash-

 

The New York Times Style Magagine Japan』に

光野桃さんのエッセイが載っていた。

三年前に植えた自宅の葡萄に実がなった話だ。

久しぶりに読む文面からは、

その美しい葉陰を想うだけで涼しげな風を感じるようだった。

 

きっかけはなんだったか。

片端から本を買い、

まだまだ先の見えない不安定な人生の時期を、

ひととき忘れて夢中で読んだ。

 

今はもう、

イタリアでの近所の夫人の掃除の話と

男物のシャツの仕立ての話くらいしか思い出せないけれど、

エッセイから得た雫が

過ぎゆく日々のどこかしらを

潤してくれているのだと

思っている。