ドラマ『オックスフォードミステリー ルイス警部』
『主任警部モース』のスピンオフドラマ。
ルイスはモース亡き後警部に昇進し、今はハサウェイという部下と共にオックスフォードで事件を解決している。
今週からシリーズ3。
この二人の会話が面白い。特にブラックジョークと言うべきか、イギリス流返しが冴えるハサウェイのセリフがいい。
シリーズ2「名士たちの秘密」では、ルイス警部がスカッシュで腰を痛め病院の待合室にいる。ハサウェイも付き添いでいるのだが、ルイスが名を呼ばれて立ち上がり様に「もしも・・・」と言いかけたところで、すかさずハサウェイが「尊厳死の希望を」。
ルイスは大方治療中に事件でもあったらこうしてくれという類の話を言いかけていたのだろう。当然ハサウェイもわかっている(スカッシュで腰を痛めたくらいで死に直結する確率は低い)のだが、神学部出身であるということが遺憾無く発揮された。
まあ、「業火の祈り」ではベッドに横たわる死期間近の事件の鍵を握る教授に「今ここで告解を」と囁き、出ていけと言われていたが。
また今回の「愛とファンタジー」では、研究員で作家のドリアン・クレインという男性が出てくる。オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』からのものだろう。容姿はオスカー、名がドリアン。うっかり微笑んでしまう。
そして、教授が学生に向かって論文に「イカれ帽子屋」とは書かないようにと注意しているシーンがあった。アリスの原書の中でそんなことは書いていないと。これは事実で「帽子屋のように狂っている」という表現はあるのだが、「気違い帽子屋」はない。いつの間にか「気違いのお茶会」と混同されてしまったのだろう。当時の帽子屋はまだフェルトを作るのに水銀を使用していたため、震えや記憶障害、果ては精神障害など水銀中毒の被害を被っていたそうだ。
この作品、二人の会話が漫才の掛け合いのように感じるほど、こなれてきたのが魅力なんだと思う。